
松田元太(Travis Japan)の単独初主演作となる舞台『俺節』が、6月10日(水)に東京建物 Brillia HALLで開幕した。
2017年の初演から9年。主人公・コージ役を演じる松田をはじめとする新たなキャストたちが、土田世紀の同名漫画を原作とした人間ドラマに再び命を吹き込む。脚本・演出は、前回に引き続き福原充則が担当する。
以下、開幕日前日に行われたゲネプロ、そして松田、稲葉友、キム・チャンミが登壇した取材会のオフィシャルレポートを紹介する。
ゲネプロレポート

激しい波音と鳥の鳴き声のなか、雪が横殴りに降りしきる。松田演じるコージが演歌歌手を目指し、故郷・青森を発つ場面から本作は始まる。
時は1990年。コージは東京でも津軽弁を捨てず、故郷の婆ちゃんにもらった背広を一張羅に、演歌界の大御所・北野波平(益岡徹)、相棒となるギター弾きのオキナワ(稲葉友)、流しの大野(六角精児)、そして外国人ストリッパーのテレサ(キム・チャンミ)と出会い、ぶつかって傷つきながらも「演歌の真髄」を学んでいく。

本作は松田の演歌挑戦が大きな見どころだが、歌を生業とする先人たちからの言葉やテレサとの恋によって、コージが「歌の心」を体得し、徐々にその歌に真心や気迫が宿るプロセスが見事だ。その熱量は、客席にいる自分の体にも確かに伝わってきて胸が熱くなった。特に劇中最後となる楽曲を、目に涙を浮かべながら歌い上げる姿は圧倒的だ。

コージやオキナワが根城とする「みれん横丁」、テレサが働くストリップ小屋、古い芸能界の接待の場など、令和の時代の価値基準からすると眉をひそめる人もいるかもしれないが、現実の複雑さに翻弄されながら、それでも歌を捨てられない人たちの姿には、「それしかできない」からこその覚悟と美しさがにじむ。
脇を固めるキャストたちも、一人ひとりが実際にその時代を生きていた人物としていきいきと描かれ、だからこそコージのまっすぐな人柄や不器用さにも一層説得力が増す。さらにはシリアスな場面にも笑いを忘れない演出も効果的で、3時間35分もの長尺を一瞬たりとも感じさせない。

津軽弁も演歌も、そして大作舞台の単独初主演も、見事なまでに自分のものとした松田の挑戦。ぜひともこの機会を逃さず、堂々と新境地に立つその姿を目に焼き付けに来てほしい。
取材会レポート&フォトギャラリーは次の通り。
